30年戦争9-北方の獅子グスタフ・アドルフ

1630年神聖ローマ運命の選帝侯会議が近づいてきた。その1か月前の5月、皇帝フェルディナンドは、ヴァレンシュタインに3万の兵をマントヴァに差し向けるよう命じた。ところが司令官からの返答は「一兵たりとも割くあたわず」というものだった。ヴァレンシュタインはもはや堂々たる貴族で権利もあるというわけだ。

6月の選帝侯会議、侯らはバイエルン侯含めヴァレンシュタインの罷免を求めた。こいつがそろそろ反抗してウザイと思っていた皇帝は、それに応じ、この司令官を罷免し、爵位も取り消した。ヴァレンシュタインはボヘミアに引っ込み、皇帝軍は大幅に削減されてバイエルン指揮下に入った。

こんな譲歩をしたというのに、皇帝の息子のローマ王は棚上げとなった、皇帝の敗北である。そして運命は何ということか、ここで北方の獅子スウェーデン王グスタフ・アドルフが1万3千の兵力で帝国本土に上陸する。名目は帝国内領土保全であるが、この乱世で新教を支援して領土を拡張しようとした。

グスタフは、オランダの軍制改革を取り入れ、火砲中心の強力な軍隊をつくり、バルト海を制した。そしてポーランドとの戦争で背後のハプスブルクへの牽制の必要を感じた。そしてすでにフランスのリシュリューが反ハプスブルクで同盟を組み、資金援助をしていたのである。

下はストックホルムのグスタフ・アドルフ像

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。