新世界より3-清教徒迫害「丘の上の町」へ

1628年8月23日、英国王チャールス1世の寵臣バッキンガム公がジョン・フェルトンに暗殺された。フェルトンはラ・ロシェル遠征に従った軍人でPTSDに悩まされ、遠征失敗でバッキンガム公を恨んでいた。暗殺の知らせをきいたロンドン市民は歓喜に沸いたという。

翌29年3月2日、国王は議会を解散し、絶対王政を行おうとした。権利請願を行ったリーダー9人は投獄され、その中のジョン・エリオットは獄死した。国王は王権神授説を唱えるウィリアム・ロードをカンタベリー総主教にして、宗教からも王権を強化しようとした。

ロードは、強硬な宗教統一論者で、英国教会で国民を統一しようとし、反抗するピューリタンを高等宗務官裁判所や星室庁を使って徹底的に弾圧した。さらに政治にも介入して、徴税を強化、土地囲い込みを禁止した。しかしそれは、羊毛産業で利益を得ているジェントリの反発を呼ぶことになる。

弾圧されたピューリタンは、アメリカに新天地を求めた。29年には、400人がマサチューセッツ植民地をつくる。ピューリタン入植者達の40人に一人は大卒者の牧師だった。30年ジョン・ウィンスロップが最初の知事に選ばれ、アメリカを福音書の「丘の上の町」と呼び、神の理想を実現しようとする。

下はアメリカに到達したジョン・ウィンスロップ一行

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。