啓蒙の光1-グロティウス戦争と平和の法

1625年「国際法の父」と呼ばれるグロティウスの「戦争と平和の法」が発表された。彼は、オランダのデルフトに生まれ、幼い頃から神童と呼ばれる才能を発揮した。16歳で弁護士となり、30歳でロッテルダム市長となる。しかしその後政争に巻き込まれて逮捕され脱獄。亡命先のパリでこの書を書いた。

当時は宗教戦争に加え、新教国家同士の問題も発生していた。海洋問題をめぐりグロティウスも「自由海論」を書いている。マキャベリの「君主論」は、自立的国家を確立する時代の書であり、その目的のためなら倫理にかまってられない。しかしこの時代は国家同士が大規模な戦争をするのである。

グロティウスは、正当な理由のある国家間戦争は否定しない。しかしその戦争行為の「緩和」を唱えるのである。具体的には非戦闘員の殺害を否定し、宗教、文化的な物も破壊してはならず、敵の力を弱める以外の略奪を禁止しようとする。ここには戦争の中でも人間理性による「自然法」は生きているという考え方がある。

そして戦争の終結に必要なのが「平和条約」となる。中世の「神の平和」ではキリスト教徒同士争ってはならなかった。しかし宗教が分裂した時代には、人間理性を行使する条約が頼りというのだが。

下左はグロティウス右は戦争と平和の法

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。