ラ・ロシェルそのものは大砲を備えており、かなり頑強な拠点である。国王軍は、兵糧攻めしかないと港に瓦礫を満載した船を沈めて大規模な堤防を築き、街を完全封鎖してしまった。街はそれでも14カ月耐え抜いたが結局降伏した。なんとそのとき町の人口は2万7千人から5千人に激減していた。
この実戦を指揮したのはリシュリューであり、この手際の良さにルイ13世は彼を信頼することになる。降伏したものは全員赦免し、ここにフランス絶対主義の基ができることとなった。ユグノーの信仰は許されたが、権利は制限され、ルイ14世のカトリック復活に結びつく。
そしてこの包囲戦の中に三銃士が居たことになっていて、アレクサンドル・デュマは、絶対主義の作り手として、リシュリューを悪役につくりあげる。スペインも反新教の立場からフランスを支援し、艦隊を送り、リシュリューも受け入れた。しかし「三つの顔を持つ男」といわれるこの男はそう簡単ではない。
ともあれ欧州ではカトリックが勝利したかに見えた。1629年、皇帝フェルディナンド2世は、なんとアウグスブルクの宗教和平を反故にし、プロテスタントに没収された領地や修道院をカトリックに戻すべし、という「回復令」を出した。さすがにこれは過激すぎた。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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