バロックの時代8-フェリペ4世とヴェラスケス

1621年3月31日、スペイン王フェリペ3世が42歳の若さで崩御した。ポルトガルから帰ったところ気分を害した。王宮の火鉢が近すぎて、王は汗をかいていたが、儀礼にこだわり連絡ミスで誰も動かせなかったという。ともかく若干16歳の息子フェリペ4世が即位した。

新王は教養と熱意があり、期待が高かった。しかし歳若く、自分の侍従であったオリバーレス伯爵を寵臣として、政治を任せた。オリバーレスは、フェリペ2世の栄光の再現をめざし、30年戦争に積極的に関わっていく。さらに芸術好きの4世のもとでスペイン絵画は最盛期を迎える。

1623年その立役者ディエゴ・ヴェラスケスが王の認定を得て宮廷画家となった、24歳。彼はそれまでボデゴンといわれる風俗画家である。しかしその俗と聖なる世界を接続するのだ。「マルタとマリア宅のキリスト」では、聖書の物語と現実が接合されている。アビラの聖テレサは、この場面で「土鍋にもキリストは宿る」と言った。台所も聖なる場所なのだ。

そして、「セヴィーリャの水売り」ではただの水売りを司祭のように堂々と描く。実はこのグラスをただの水売りが持てるはずがない。これを見た新王は「あの水が飲みたい」と言ったという逸話がある。

下はセヴィーリャの水売り右はグラスと素焼きの瓶のアップ

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。