日本では1610年にポルトガル船マードレ・デ・デウス号爆沈事件が起こった。実は08年に島原藩主有馬晴信の家来が、マカオで事件を起こしてポルトガル人に殺害されていた。その治安責任者のペッソアが来日したとき、有馬は仇討とばかりこの船を襲撃し、火薬に火がついて沈没した。
この事件の裏には、南蛮貿易をめぐる長崎奉行長谷川藤広、代官村山等安の陰謀があり、程なくさらに事件を呼びこむこととなる。しかしこの事件のあと2年間ポルトガル貿易は途絶え、イエズス会と家康との仲介をしていたロドリゲス神父が追放された。
一方、フィリピン臨時総督ロドリゴ・デ・ビベロも難破のため日本におり、メキシコと日本の通商をもちかけた。そしてこの交渉役が、フランシスコ会の怪僧ソテロである。徳川幕府もこの時点では、通商に乗り気のようだった。しかしキリスト教宣教はダメと釘をさした。
メキシコからは副王総督代理としてビスカイノが来日した。そしてメキシコに帰る船を修理することになったが、幕府は金を出さない。その金を出したのが仙台藩主伊達正宗だった。ソテロは正宗に取り入り、スペイン国王とローマ教皇への使節を送れと言う。彼は自分が仙台司教になるつもりだった。
下は天理大学図書館にあるマードレ・デ・デウス号大砲
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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