バロックの時代4-バロックオペラの誕生

1607年、ルーベンスを庇護したマントヴァ公の宮廷で、歴史上初のモンテヴェルディ作のオペラ「オルフェオ」が上演された。宮廷内での小さな演奏会だというが、それでも5幕2時間もある。イタリアでは劇の幕間に小さな音楽劇が上演されていた。つまり日本の能の幕間の狂言が独立したようなものだ。

しかし現代のオペラのように、アリアとレスタティーボがあり、それに音楽がつけられているだけでなく、全体的な音楽の統一性もある。現代の演奏とどこまで異なっているかわからないが、ダンスシーンもあり、恋人のエリウディケが死んで冥界に降りていく劇的な場面転換もある。

ギリシャ神話はルネサンス時代には流行したテーマであるが、オルフェオにはさらに最終幕に、オルフェが天に昇るシーンがあり、宗教改革をくぐって再生したバロック的世界観が表現されている。宮廷人達は、わずらわしい現世を離れ、一時夢の世界に癒された。

モンテヴェルディは1613年ヴェネツィアのサンマルコ寺院の楽団長に任命され、彼はここでオペラを発表。オペラは各国宮廷に広がるだけでなく、1637年に一般聴衆が見るオペラハウス「サンカッシアーナ劇場」が設立され、モンテヴェルディの弟子達によってオペラは一般化してゆくのである。

下はオルフェオの最終アポロンと天界に行くオルフェオ

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。