1605年、ついにセルバンテスの傑作「ドン・キホーテ」初版が発行された。この物語は大評判となり、同年中に6版が刷られ、14年には後篇が発表され、大作になった。しかしセルバンテスは、無敵艦隊の徴発係をした後も、徴税人となるが税金を預けた銀行が破産して金が払えず投獄される。
本人は、この獄中でドン・キホーテの着想を得たようだ。騎士道物語を読み、自分も騎士と思いこみ、失敗をやらかす主人公は、レパントやアルマダの戦いに参戦して結局捕虜になり、投獄される、セルバンテスの人生そのものといっていい、このとき58歳。
実にフェリペ2世のカトリック復興の戦いも空しく終わっていた。ネーデルランドはともかく、最後はフランスにまで裏切られて戦争となった。後を継いだ3世は、すべてに休戦と講和を行って、干渉を止めた。まるでイスラム解放戦争後のアメリカのようである。
スペイン人達も、この物語に、大航海時代からロマンを求めて世界中に出ていった前時代人の姿を見たのだろう。虚脱したスペインは笑いを求めていた。しかしドン・キホーテは典型的なスペイン人だと評価されている。スペイン宣教師は今でも大きな夢をもって世界に出てゆく。
下は松本幸四郎の舞台「ラ・マンチャの男」
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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