1605年、火薬爆破事件も生々しいときに、シェークスピアは「マクベス」を書き始めた。実は国王ジェームス1世が御前興業用に発注したらしい。マクベスに殺されたバンクフォーはスチュアート王朝の始祖である。劇中魔女が予言している。史実としてはマクベスは悪い王ではなかったようだ。
火薬爆破事件の影響はこの劇の不安な雰囲気に見てとれる。劇中門番のセリフにその皮肉があるようだ。そして実は国王は魔女裁判を行って「悪魔学」という本を書いていたほど、魔女に詳しく、悪魔を信じていた。冒頭から魔女が出てきて、マクベスはその予言で王を殺害する。
時代を読み込むなら、魔女に踊らされたマクベスは、火薬爆破の犯人達ということになる。犯人達はカトリック再興という非現実的な夢を見ていたわけである。シェークスピアは、言い訳がましく、魔女は古代のヘカテの配下と付け加える。
終盤でほんの少しだが、イングランド王の癒しの奇跡のセリフがある。対するマクベスは、夫人の病を治せない医者に腹を立てる。真の王のなすべきことは国民の癒しなのだ、とでもいいたそうだ。結局マクベスの敗北だけでこの劇は終わり、新王の希望は予感だけである。ところが癒しどころか現実のジェームスはカトリック弾圧に舵を切る。
下はフェスベンダーとコティヤールでやった映画マクベス
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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