バロックの時代2-外交官画家ルーベンス登場

1603年スペイン国王フェリペ3世に一人の外交官が目通りをした、その名をピーテル・パウル・ルーベンス。オランダ人だが、イタリアはマントヴァ公爵の名代。ルーベンスはアントワープで人文主義教育を受けたが、画家の才能を見いだされて画家の工房に入った。

1600年、23歳で絵画留学でイタリアに行ったルーベンスは、ヴェネツィア派を学び、当時芸術家の庇護者として有名だったマントヴァ公ゴンサガのお抱え画家となり、主人の命令で名画を模写するためにローマに行った。ここで観たのがルネサンスの巨匠だけでなく当時注目のカラヴァッジョの作品。

ローマ滞在中、ネーデルランド大使秘書となっていた兄のつてで、当時ネーデルランド総督アルブレヒト大公の依頼で聖堂の祭壇画を描いている。そして03年、マントヴァからスペインに美術品の贈答の使者として、スペインに赴く。ルーベンスが、ラテン語を自由に操りかつ話上手という才を見込んでのことで、この贈答の中にルーベンスの絵画は入っていない。

ここで彼は、フェリペ2世の膨大なコレクションに接すると共に、画家として当時権力を一手に収めていたレルマ公の騎馬像を描いて宮廷で大評判をとり、レルマ公より滞在を伸ばすよう依頼があった。ルーベンスの絵画外交の始まりである。

下左はルーベンス作レノマ公騎馬像右は聖ヘレナと聖十字架

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。