黄金帝国18-フェリペ2世死す

1598年9月13日、スペインの太陽王フェリペ2世が71歳で崩御した。彼は父カール5世のあとを継いでカトリックの再興に全力を尽くした。しかしヨーロッパ各地を転戦した父とは対照的に、ほとんどマドリードの宮殿を動かず世界を動かした。中央集権システムをつくった彼は「書類王」の異名をとる。

穏やかな性格で争いを好まなかったが、生真面目すぎる彼は、カトリックを守るために宗教戦争に全面的に加担し、国内でも徹底的な異端(新教)取締りを行った。ブルゴーニュの人文主義の影響を受け、新教にも共感し、新旧融和を計ろうとした父とはこれも対照的である。

その戦争の資金源として、新大陸が利用され、父が好まなかった植民地化を推進してしまった。しかしそれでも資金が足りず、4回も国庫破産を行った。そして新大陸の銀は、銀価格を不安定にしていくことになる。また植民地依存は、やがてスペインを没落させていく。

実は、フェリペ2世の5日後、日本の太陽王豊臣秀吉が亡くなるのである。天下太平を達成したはずの秀吉は、朝鮮に出兵し、実に戦争中であった。秀吉の死と共に兵は朝鮮から引きあげ、その後の動乱の幕があがることとなった。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。