バロックの聖性2-聖女テレサ迫害と帰天

1582年10月5日、スペインでは故郷アビラで聖女テレサは帰天した。62年に最初の聖ヨセフ修道院を建ててからの20年、それまで外に出たことのなかった彼女は信じられないような活動力で、18の修道院を設立した。それだけでなく、高位から修道士まで、手紙を書き、著作を書いた。

62年の最初の修道院設立からして、市側の大反対にあった。貧しすぎるというのである。繁栄の極みにあったスペインはそれだけバブリーだったのだ。この修道院を壊す審議は王宮まであげられた。怖がる修道女に彼女は言ったという「そんなことがあったらそのとき考えますから今は寝なさい」

最初の修道院ができてからも既成勢力から迫害は続いた。76年カルメル会から修道院を建てることを禁止され、彼女は異端として宗教裁判にまでかけられて一時投獄され、著書は禁書となったのである。しかし彼女の支持者は広がり、79年フェリペ2世の布告で彼女は無罪となり、保護通告がされた。

彼女の改革は、弱い人間が苦しみながら必死に神に向かっていく道を開いたことである「テレサは恩恵がなければただの哀れな女です」。67年運命的な出会いをした修道士は十字架のヨハネと名を変え、男子でも改革運動を起こしてゆく。彼女の最後の言葉は「我が花婿よ、今こそ会いまみえるときでございます」だった。

下はアビラのテレサへの審問

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。