1578年、ポルトガル王セバスティアンがモロッコ遠征に大敗して戦死するという事件が起きた。この王は時代錯誤的な十字軍を夢見て、モロッコの混乱に付け込んで軍を派兵したが24歳の未経験、拙劣な指揮で夢はあえなく潰れたのである。その後を継いだ叔父も1年で亡くなり、アヴィス朝が断絶。
セバスティアンの母は、カール5世の妹、つまりフェリペの伯母である。80年、フェリペは王位継承権を主張してポルトガルに乗り込み、翌81年ポルトガル議会コルテスで承認を受け、ここにポルトガルースペイン同君連合王国が成立した。当時の2大海洋帝国が合併したのである。
フェリペはまさに太陽の没しない帝国の支配者となった。ポルトガルのアジア拠点防衛や制海権は軍事的に高くつきすぎた。次第に綻び、競争者の抜け目ない商人国家ヴェネツィアが復活することになったのである。しかも中南米を強制支配したスペインに比べ、中継貿易しかないポルトガルのメリットが少なかったのは皮肉である。
この合併で、ポルトガル商人は今までのアジア利権を保証されたうえに、堂々とスペインやアメリカ大陸まで手をのばすことができるようになった。実は当初喜んだのはポルトガル側だった。
下はポルトガルで承認されるフェリペ2世
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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