黒王妃の戦争9-サン・バルテレミーの虐殺

8月18日、やっかい者の姫マルグリットとナバラ王アンリの結婚式がパリで行われた。兄とのスキャンダルの後、せめてお国のためにと持ってきたユグノーのナバラ王で、新旧融和の政略結婚だった。そういうことでユグノー勢力が当時カトリックの拠点パリに押し寄せムードは不穏となってしまった。

結婚式の後の22日、ユグノーの頭目コリニー提督が銃撃されるという暗殺未遂事件が発生。新旧両派の関係は完全に険悪となった。23日王母カトリーヌが国王シャルルを訪ね、何とコリニー一派の粛清を提案した。カトリーヌはフランスを戦争に巻き込むコリニーを危険視し、暗殺も彼女の指図くさい。

国王シャルルは態度を一変「いっそ皆殺しにしてしまえ」と言ったとされる。しかし王はコリニー派のみを指して言ったようだが、事態は完全にそれを越えて進んでしまった。翌24日聖ベルトロメオの祝日、国王のスイス近衛兵がコリニーとその側近らを殺害した。

ところが、それを機会にパリの民衆が、各地から結婚式のために来ていたユグノー達を虐殺し始めた。パリが血の海となったこの「サン・バルテレミーの虐殺」は3日間続き、犠牲者数は最小2千人から最大7万人まで今日も確定していない。いずれにせよ宗教融和はまるで吹きとんだ。

下はイザベル・アジャーニ主演「王妃マルゴ」よりサン・バルテレミーの虐殺」

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。