黄金帝国7-オスマン、キプロス占領

地中海波高し。1570年4月セリム2世のオスマンは、300隻の船団でキプロス侵略を開始した。東海岸の主要都市ファマグスタは、女子供までもが堀と土塁を作り、防衛した。当時キプロスはヴェネツィア領で、艦隊を送ったが、大船団はファマグスタを包囲して破れない。

キプロスの危機は欧州の危機と教皇に訴え、ピウス5世は10月7日、スペインを巻き込み神聖同盟の結成に動いた。ところが艦隊規模と費用分担がなかなか決まらない。ようやく落ち着いたところに残ったのが総司令官だった。幾人もの名があがったが、教皇の推薦で決まったのがスペイン王異母弟たるドン・ファン・デ・アウストリアである。

5月14日教皇大使はフェリペ2世に伝えると承諾、20日に同盟発足の署名がなされた。しかし大艦隊の集結には時間がかかる。さらにドン・ファンは6月6日にマドリードを発ったが、各地で大歓迎を受け、8月14日ナポリのサンタクララ教会で出陣式が行われた。ここで教皇は「全キリスト教徒はロザリオの祈りをささげ、聖母の恵みを願うべし」と呼びかけた。

集結の地メッシーナにドン・ファンが入ったのは24日、それでも艦隊は集まらず、ついにファマグスタは陥落し、オスマンはキプロスを占領した。

下はドン・ファンにロザリオを渡す大天使ミカエル

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。