黒王妃の戦争8スキャンダルな女マルゴ登場

フランスの平和は続かなかった。宮廷はカトリック寄りになり、新教徒(ユグノー)が殺害され、1568年9月のサン・モール勅令で礼拝が制限された。ユグノーは遂にコンデ公ルイ・ブルボンを司令官に南仏ラ・ロシェルから反乱を開始した。ナバラ女王は王冠を担保に英女王エリザベスから借金した。

ユグノーは南仏を席巻したが、翌69年3月16日のジャルナックの戦いで司令官ルイが戦死、王軍総大将アンジュー公アンリは、ルイの死体をロバにつけて引きまわした。その後、国王軍の攻撃に、ユグノー軍はなんとかもちこたえ、戦況はこう着状態となった。

そのときである。なんとパリで大スキャンダルが勃発!70年6月25日朝、旧教軍主力ギーズ公アンリが、王妹マルグリットに手を出している現場を押さえられたのである。このマルグリットこそ後に仏王妃となるが淫婦として有名となる「王妃マルゴ」。すでに王シャルル9世とも兄アンジュー公アンリとも肉体関係があった。

ということで、国王側がたかが女一人で仲たがいをし、アンリらの活躍を良く思わない王シャルル9世が、9月8日サン・ジェルマンで和議を結び、ユグノー側に4つの都市が与えられることとなった。

下はユーゴーの小説の挿絵に使われた「淫婦マルゴ」

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。