英国処女王10-窮鳥メアリ、エリザベスの懐

メアリ・スチュアートは、船でイングランド北部のワーキントンという小さな港に着いた。「窮鳥懐に入らば」とか言うが、やっかいな客であった。メアリはスコットランド復帰を要請したが、そんなことを援助するわけにはいかない。かといってフランスに行かれるとさらにやっかいだ。

しかしスコットランドからは告発の手紙が来た。エリザベスはともかく、メアリを幽閉だか客人だかわからない状態で、メアリの審理を始めた。さらにやっかいなことに、1568年9月3日、駐英スペイン大使が交代し、カトリック強硬派のデ・スぺが就いた。

デ・スペは、エリザベスにさっそくネーデルランドに手を出さないように言い、抗議された。そして本国へは「イングランドをカトリック復帰させる絶好の時期だ」とよけいな手紙を送るのである。そしてメアリにはイングランド王位継承を強化させるようなノーフォーク公との縁談が勝手にすすんでいく。

11月29日、スペイン船がイングランドに漂着、それにはオランダ対策の金があったが、デ・スペはエリザベスが着服した、とオランダに讒言して、オランダ総督アルバ公は、オランダから英国船と商人を締め出した。エリザベスはスペイン船を拿捕する対抗措置をとる。そして決定的事件が起こるのだ。
下はメアリがワーキントンの貴族に渡したカップで「ワーキントンの福」と呼ばれる

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。