15世紀後半からネーデルランドを含むブルゴーニュ地方には、フランドル派と呼ばれる美術ムーブメントがあった。初期代表格のヤン・ファン・エイクは、油彩技法に革命を起こし、それまでにない豊かな色彩を生みだし、ルネサンスにも影響を与えた。
その後に現れるヒエロニムス・ボスは、この色彩を自在に使って、天国や地獄の独特な空想的絵画を生みだした。ボスの絵画は現代では意味が不可解だが、当時のキリスト教的説話を独特な絵画化したもので、意味が通じていたのだろう。フェリペ2世が愛好しコレクションにしている。
そして宗教改革の混乱の時代に、ピーテル・ブリューヘル(ブリューゲル)が現れる。彼は人文主義やプロテスタントの影響を受け、人々のリアルな姿と聖書の物語を同一化した、独特の絵画を生みだしす。1563年から彼が描いたのが有名な「バベルの塔」連作である。
日本に来たのはそのうちの一点だが、塔で作業している1400人が細部まで描かれている。塔の高さを計算すると510mでワールドトレードセンター並。不吉な雲がかかっているのに誰も気がつかない。天を目指す人間の傲慢、これを「フクシマ」という題にしてもまるで今に通じるのである。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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