黄金帝国3-ドン・ファン公兄フェリペと対面

1562年ついにオランダで反スペイン闘争が勃発した。きっかけとなったのは、フェリペ2世に任命されたグランヴェル大司教である。彼は自ら任命する司教によって宗教からオランダを統治しようとした。しかし自由主義的なオランダ貴族は反発し、教会が焼かれ、聖堂が破壊された。

この反抗の中心に居たのはオランイェ公ウィレムである。ウィレムは表立って反抗に加わらず、中立で事態を危惧する者として国王フェリペ2世にグランヴェルを罷免するよう手紙を書いた。しかし実は裏ではオスマンにまで手紙を書き、地中海にスペインを引きつけるように頼んでいた。裏で動く彼をグランヴェルは「沈黙公」と呼んだ。

フェリペは地中海覇権を奪還しようと新艦隊を建造し、オスマンに対抗した。ウィレムの狙い通り、北に手が回らず、グランヴェルは64年事実上罷免された。だが歴史は、この沈黙公を表に出すことになるのである。

そしてスペインでは、オスマンに手こずる王に力強い味方が現れる。庶子の弟ヘロニモ、60年に兄王と対面し、ドン・ファン・デ・アウストリアの名を拝命し、優秀な軍人になっていくのである。そして反対に、オスマン宮廷でも騒動が起こり、地中海作戦は中座せざるをえなくなる。

下は運命的な皇帝カールの息子の対面

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。