英国処女王5-エリザベス中道宗教改革

戴冠したエリザベスの状況は実は簡単ではなかった。メアリにより復活したカトリック派は再分離を恐れていた。一方新教側はヴァチカンからの離脱を期待していた。メアリの葬儀にはウィンチェスター主教ホワイトが、新女王で異端が復活するような説教をしてロンドン塔送りとなったばかりである。

1月に開会された議会は、国王至上権と教会典礼の法律をめぐって新旧双方が大激論となった。そして結局女王は議会を閉会してしまうのである。女王は実は姉メアリによってカトリックに改宗させられそうになったとき、カトリック典礼もそれほど悪くないと気付いていたのである。

4月3日に開会された議会に提出された法案は、重大な改正がされていた。至上法の「最高首長」は「最高統治者」として緩められ、祈祷書に、カトリックの聖体拝領的文言が加えられた。さらに、聖職はカトリックのような聖職服を着ることが規定された。言語こそ英語となったが旧教典礼は残ったのだ。

この「中道」的改革により、英国教会はこれまでの伝統の継承=使徒継承を主張できることとなった。しかし急進的改革派はそれで満足できず、やがて批判、分離をしていくことになる。この者達は融通がきかない、馬鹿正直という意味で、ピューリタンと呼ばれることになる。

下左は議会服のエリザベス。右は1596年の主教聖書

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。