夫フェリペ2世の頼みでフランスに宣戦した英王メアリ1世は、残った大陸の領地カレーを失う結果となった。フェリペ2世は、共同王とはいいながら、わずか3カ月しかロンドンに居なかった。メアリはフェリペとの間に子供ができたと言ったがそれは想像妊娠だったようだ。
メアリの印璽は、右がイングランドのスリーライオンだが、左はスペインとなっていて、独立を重んじる貴族の反発を招き、「イングランドをスペインに売った女」とまで言われた。農民一揆も起こったが、諸侯の信頼を失ったメアリに止めるすべはなかった。
カトリック復帰は一般貴族にとっては問題がなかった。むしろ慣れたラテン語典礼は好ましかったのだ。しかし事が修道院から没収した領地の返還の話になると応じるはずがなかった。聖職者達も結婚していた。
そしてカレーはただの町ではない。ブリテンの羊毛がそこで毛織物業者に引き渡され関税をかけたのである。メアリは子宮癌で死の床につき、1558年11月16日、一旦はロンドン塔送りにした妹エリザベスへの継承を同意して翌日崩御した。「私の胸を切るとカレーという文字が出てくる」という最後の言葉はいかにカレーが重くのしかかったかを表している。
下は映画「エリザベス」よりエリザベスと話す女王メアリ
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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