最後の皇帝27-皇帝完勝崩壊の芽

もう一人の新教派の頭目、ヘッセン方伯フィリップは無条件降伏。彼には領地没収と要塞の破壊、武器ひき渡し、賠償金が命じられた。その上彼も虜囚のままとする、と皇帝は宣告。勝利の立役者となったモーリッツは、方伯の娘婿で、釈放を嘆願したが、皇帝は聞き入れず、2人の関係に最初のヒビが入った。正直者のカールは、どうも片意地なところがある。

大勝利の皇帝は、1547年9月アウグスブルクに帝国議会を招集した。帝国武装兵でいっぱいの町で開かれたこの議会は「甲冑で囲まれた議会」と呼ばれる。そこで宗教問題は開催中のトリエント公会議に従うと決定された。そして公会議が終わるまで、新教にも配慮した「暫定措置」が決められた。

そして皇帝は、これに従わぬ新教側の都市を攻撃し、その特権をはく奪した。この武力政策は、ドイツ中に皇帝への不満をつのらせることとなる。そしてカールは次期皇帝に息子フェリペをつけようとして、弟大公を怒らせてしまう。

またあまりにも強すぎる皇帝には教皇パウルス3世がビビっていた。彼の脳裏をかすめたのは先ごろの帝国軍の「ローマの略奪(サッコ)」だったろう。そこで何と、トリエント公会議は、皇帝側司教をおいてきぼりにして、ボローニャに場所を移して公会議を分裂させたのである、あーあ

下左はティツァーノ作「ミュールベルクの戦いのカール5世」右はフィリップ1世

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。