最後の皇帝26-鞭声粛々、渡河作戦大成功

冬に入り自然休戦の後、1547年ザクセン選帝侯ヨハン・フリードリヒは、モーリッツへ反攻に入った。皇帝カールはニュルンベルクを発し、弟フェルディナンドと合流してザクセンを目指した。兵16000、めざすはマイセン。ところがマイセンに布陣していた選定候は兵力も地の利もあるのに退却してしまう。

ザクセン軍はミュールベルクのエルベ河畔に陣を敷いた。皇帝軍は水深の深いエルベ川を越えねばならない。4月23日、早駆けで到着したカールは翌朝早く総攻撃を命じた。鞭声粛々、その日の朝は深い霧が立ちこめた。ザクセン軍は霧の中から聞こえる皇帝軍の銃声にめざめた。

慌てて起きたザクセン兵は音を頼りに大砲をぶっぱなすしかない。ところは実はそれは囮である。霧が晴れると、皇帝軍歩兵が別方面に船橋をつくって渡ってくるのが見えたのだ。さらに別方面からは皇帝を先頭に騎兵が水に馬を乗り入れて渡ってくるではないか。

ザクセン軍は算を乱し、選定候は逃げようとした。しかし皇帝軍が怒涛の如く押し寄せ、1200名が死し、選定候は捕虜となった。カールの完勝。皇帝軍はルターの街ヴィッテンブルクに凱旋し、選定候の地位と領地を約束通り、モーリッツ公に渡した。

下はミュールベルクの戦い

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。