地球は動く2-コペルニクス地動説発表

1543年、ついに世界観の大転換と言われる書が世に出た、コペルニクス著「天体の回転について」である。すでに彼は1491年18歳のとき、ポーランドのクラクフ大学で、天動説に懐疑的だったブルゼフスキ教授の天文学の講義を聞き、自分で研究も行っている。

もっとも1440年には枢機卿ニコラウス・クザーヌスがキリスト教の立場から地動説を唱えており、学者たちに大きな影響を与えていた。ルネサンスの人文主義は、かなり先進的な思想をつくっていたのである。それがヴァチカンに危険視され、宗教改革で、新旧教とも思想的統制を強化させて悲劇を生んでゆく。

その後イタリアのボローニャ大学から戻って来たコペルニクスは、当時ドイツ騎士団領だったフロムボルクで、聖職者としても、行政職としても仕事をした。そしてここで1510年「コメンタリオルス」を書き、地動説を初めて公にするのである。この書はその後ずいぶん有名になり、カール5世まで知っていた。

1536年、枢機卿シェーンベルクが、自分の説を出版するよう促した、そして当地ギーゼ司教にも励まされ、ルターのヴィッテンベルク教授のレティクスが弟子となって出版を勧め、コペルニクスは死期の迫ったことを悟り、出版に踏み切った。そして出版されるとルターはなんとコペルニクスを聖書と違うことを言う「馬鹿者」と呼んだ。

下左は「天球の回転について」右はコペルニクスの肖像画

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。