1542年4月、ラス・カサスは念願の国王カルロス1世(カール5世)に謁見した。そして国王にインディアス枢機会議員の腐敗堕落を訴える文書を提出、さらに20項目にのぼる改善案を提出した。国王は、これを見て枢議会議員を更迭し、バリャドリードで新大陸問題の特別会議を開催した。
この会議においては、ラス・カサスの改善案が国王承認のもとに読み上げられ、これを中心に議論がすすんだ。そして11月20日、新たな植民法「インディアス新法」が制定された。この法は第21条で「今後理由の如何を問わずインディオを奴隷にしてはならない」という画期的な法律だった。
ラス・カサスは、現在の先住民奴隷の即時解放を求めたが、それはならず、過大な先住民奴隷所有者の引き渡しや、不在地主が持っている奴隷の引き渡しが決められた。しかしこれだけでも新大陸に居るスペイン移民から猛烈な反対を引き起こしたのは言うまでもなかった。
ラス・カサスは、また新大陸に、今度は司教としての権限を持って帰った。しかし待っていたのは、植民地当局の新法サボタージュだった。彼は、スペイン政府や教皇にも訴え、新法を実行しようとしたが、結局スペイン政府は、先住民奴隷の段階的廃止を棚上げした。ラス・カサスはまた本国に戻る。
下はインディアス新法
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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