ヴァインスブルクの事態は諸侯を震え上がらせ、皆農民の要求を受け入れた。そして大挙集団は、次に司教都市ヴュルツブルクに向かい、ここでゲーテの戯曲で有名になる騎士ゲッツ・フォン・ベルリフィンゲンが指揮者となった。向かうヴュルツブルクの市参事員には、彫刻家リーメンシュナイダーが居た。
領主である司教コンラートはハイデルベルクに応援を頼むと、密かに市を脱出、農民軍は大挙押し寄せ、対岸のマリエンブルクの大城塞を孤立させるべく、無条件降伏を迫った。市議会は大激論となったが、市内の反司教派が扇動し混乱が激しくなり、市は農民の要求に応じて開城した。
1525年5月9日、農民軍はマリエンブルク城壁に取りついたが、何の戦略もなく、銃のつるべ討ちに撃退された。指揮官フロリアン・ガイアーが大砲を持って戻ってきたが、もはや遅く農民の士気は阻喪していた。死神トルホーゼスが向かってくるという噂はさらに混乱を招き、なんとゲッツはこっそり逃げた。
6月2日、農民軍とシュバーヴェン同盟軍の決戦が行われ、両軍とも激しい戦いを行ったが、結局騎兵2千人の側面突撃によって、農民軍は6千人の死者を出す大敗を喫した。司教コンラートは、軍団と共に、ヴュルツブルクに凱旋、フロリアン・ガイアーは戦死した。しかしリーメンシュナイダーの悲劇はこれから始まるのだ。
下はフロリアン・ガイアーフェスティバルの映像
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
0コメント