我ここに立つ12-スイスのツィングリ登場

さて国王達が欧州戦争をやっている間に、宗教改革は騒乱を呼んでいた。スイスでは、ルターよりももっと徹底した改革者が出た。ツィングリである。彼もやはり1519年に免罪符の批判の説教を行って改革に参加した。

彼はルターよりも聖書主義であり過激である。彼は信徒共同体が、教義や司祭を選択すると考えた。ミサで信徒に与えられる「聖体ホスチア」を単なる象徴と考えた。また聖書にないといって、聖画や教会音楽まで否定した。ルターは、社会の権力は、神が認めたものとして是認したが、ツィングリは、神の教えと違うなら変えてもよいと言った。ハプスブルクに逆らってきたスイスらしいといえばらしい。しかしこれは社会革命の容認である。

23年9月9日、チューリヒの聖ペーター寺院の待者が教会の内陣に侵入して、金銀で飾られた祭壇を打ち壊した。これをきっかけに、チューリヒやスイスのあちこちで、聖画、聖像破壊が行われた。これには、民衆を離れた贅沢をしているカトリック聖職者への反感があった。

翌24年には、聖像聖画撤去は、行政が主導して秩序だって行われたが、スイスは統一した政権ではなく、内部的には連合体であったため、カトリック地域との対立、さらにルター派との対立も起こることとなった。

下左はハンス・アスパー作ツィングリ肖像と右聖像破壊

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。