帝国対王国12-ルイの天下、帝国出番なし

ルイ12世は実に巧妙だった。ライバルのローマ王マクシミリアンにはスイスをけしかけた。スイスは元々ハプスブルクの領地だが、税金を払っていなかった。1499年、マクシミリアンは近隣のシュヴァーベン同盟の要請でスイスに戦争を仕掛けたが、傭兵でならしたスイスの力に敗北。さらに帝国はバラバラになった。

スペインとはナポリ分割協定を締結したところで、1501年、ミラノのフランス軍はナポリに進軍した。チェーザレ・ボルジアは後衛としてつき従った。チェーザレはカプア攻撃を行い、家々に火をつけて、女子供を含めて市民を虐殺した。

本戦そのものは優雅なもので、ルイ12世はナポリ王フェデリコにフランスに領地を与え退位させてしまった。しかし「上手の手から水」というか、現地での領土分割がスペインと思惑が違って、フランスとスペインが戦争をすることになるのである。

塩野七生と違って、こんな展開をチェーザレは予想できなかっただろうが、ともかくフランスとの約束を果たしたチェーザレは、カプアの領主コロンナ家のローマ近郊の領地を攻撃し、ボルジア領及び教皇領に編入した。12月妹のルクレツィアをフェラーラに嫁がせ、同盟を強化した。イタリア征服は容易なことではない。

下はプレヴィアーティ作「カプアの強奪」

0コメント

  • 1000 / 1000

キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。