権力も権威も不在のドイツでついに騒乱が起こった、最初は「騎士戦争」と呼ばれる。騎士という存在は、戦争が火器を交えた集団戦に進化すると無用な存在となっていった。ドイツの場合、各領邦の君主の廷臣となった。ところがそれに反発する者達が居た、首領は帝国議会でルターを護衛したジッキンゲンで、彼のエーレンブルクは不満騎士の梁山泊だった。
ジッキンゲンは、領内の鉄鉱石とあちこちにケンカを仕掛けて富を持った。そしてその配下にフッテンという、ルターかぶれのインテリ騎士が居た。ルターは宗教改革の檄文で、商人よりも貧しく没落する騎士をインスパイアしたから責任がなくはない。ルターは社会的には古い面が結構ある。
ということで1522年9月、ジッキンゲン一党はカトリックの牙城トリーアを攻撃した。しかしさすがのトリーアは簡単に落ちず、皇帝が認めるはずもなく、呼応してくるはずの騎士は、領邦主に鎮圧された。そしてザクセン、プファルツ候、ヘッセン伯が退治に進軍し、撤退を与儀なくされた。
翌23年4月末には、ジッキンゲンは、立て篭もった山城を包囲されて命を落とした。しかしこれは来るべき騒乱の序曲に過ぎず、没落騎士達は、続いて起こる「ドイツ農民戦争」に合流してゆく者も出てくるのである。
下はバート・クロイツナハにある左フッテンと右ジッキンゲン像
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
0コメント