実際カールにとってルターはそれほどの事とは思わなかったろう、単にキリスト教の異端の問題である。それよりも隣国フランスのフランソワが動き出していた。そしてオスマンではついに壮麗王スレイマン1世が即位し、ハンガリーに圧力をかけていたのだ。
カールだけで、この大きな領土を治められるはずはない。そこで叔母マルグリットの仲立ちで、弟フェルディナンドを東の領地を任せることにした、これがスペイン、オーストリア両ハプスブルクの元となった。しかし弟にしてもドイツはますます力が及ばず放ったらかしとなった。
さて、フランソワ1世は、皇帝選挙の復讐を謀み、スペインに併合されたナバラ王国の残りナバールを支援して、奪回戦争をけしかける。またブルゴーニュにもラ・マルクを支援して、ブイヨン戦争を起こした。そしてイタリアにも侵攻しようとして第3次イタリア戦争が始まる。。
ここで教皇レオ10世は、この新皇帝と組むことにした。ルターを放免したあと、カールが異端は許さぬとタンカを切ったことも好感したようだ。1521年5月にこの同盟が結ばれ、皇帝連合軍はブルゴーニュのトゥルネを奪回し、逆に仏領に攻め込んだ。そしてイタリアではミラノを包囲してスフォルッツァ家を復活させた。
下はイタリアに進軍するフランソワ1世
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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