カール5世が慌ただしくスペインを出発する前に、さらに慌ただしくいろんなことをやっていた。その1つがなんとマゼランの大航海だった。実際マゼランは世界一周しようと思ったわけではない。コロンブスと同じく東周りでモルッカの香料諸島へ行くという計画だった。
スペイン王としてのカルロス1世は、1517年に即位したばかりで、マゼランに会っている。実は神聖ローマのスポンサーであるフッガー商会の支店長クリストバル・デ・アロと航海責任者のフォンセカ枢機卿の紹介だった。このとカール17歳、マゼラン37歳。
マゼランは実はポルトガル人で、ポルトガルの船長としてインドからマラッカまで航海してきたベテラン。しかしもうポルトガルではキャリアは積めないとみて、スペインに転籍した。若い君主成り立てのカールは、2人の推薦人とマゼランのベンチャー魂に打たれ、この冒険をOKした。
ところが、フォンセカが自分の息のかかった貴族を船長にしようと画策、ポルトガルも資材をストップさせて妨害、準備は遅れに遅れた。なんと19年5月になっても準備中だったが、カールはストップしなかった。しかしとうとうカールがスペインを離れざるを得ず、8月10日運命の大航海に出発したのである。
下は世界一周したヴィクトリア号のレプリカ
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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