我ここに立つ1-浪費教皇レオ10世の免罪符

1513年に教皇となったレオ10世は、フィレンツェの豪奢公ロレンツォ・デ・メディチの次男ジョヴァンニ。彼は、前2代の教皇のように戦争好きではなかった。フランスとも和平を結び、華麗な文化でヴァチカンの威信を高めようとした。彼の時代、イタリアルネサンスは最後の花を咲かせる。

しかしレオ10世は輪をかけて浪費家だった。聖座につくにあたって「教皇の座を楽しもう」と堂々と宣言し、宴会、狩猟、賭博とか湯水のように金を使った。そして彼がユリウス2世から引き継いだのがサンピエトロ大聖堂の改築である。14年に建築主任であるブラマンテが亡くなった後、ラファエロを起用して、さらに規模を大きくした。

国庫はあっという間に尽き。金策で彼が頼ったのがドイツのフッガー家だった。そしてドイツ最高位司教座のマインツ大司教となったアルブレヒトも、その選挙資金をフッガー家に頼った。レオ10世とアルブレヒトはこの借金返済のために、ドイツで大々的に贖宥状、一般にいう免罪符を出した。

免罪=免賞は実は今も行われている。2016年は「いつくしみの特別聖年」に指定されて、指定された聖なる門をくぐって赦しの秘跡を受ければ罪の赦しが受けられた。信仰を高めるきっかけはいいにはことだが、十字軍に使われたり、資金集めなど教皇の万能薬に使われた。

下はレオ10世の浪費のルター派の風刺

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キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。