春の嵐14-マキャベリ臣民軍でピサ制圧

1509年5月20日、ついにフィレンツェはピサを降伏させた。マキャベリは、00年の攻撃失敗から、05年に軍制改革を断行した。それは給料次第で敵に寝返る傭兵軍ではなく、市民達の兵士「臣民軍」であった。この発想はフォルリでチェーザレがやっていた。

しかしチェーザレはあまりうまくいかなかった。マキャベリは共和制のフィレンツェこそやるべきだと思ったわけだ。そしてそのトップに据えたのが、元チェーザレの懐刀というべきドン・ミケロットであった。マキャベリはこの軍の書記にもなって戦略や調達の采配を振るった。

マキャベリの目論見通り、臣民軍が主体となった今回のピサ包囲は、命令系統の乱れも裏切りもなく、粛々と兵糧攻めを行い、ピサの内部分裂を誘って無条件降伏させ、15年にわたる戦争に決着をつけた。

マキャベリは、勝利の立役者として、多くから評価され、祝福された。有力者は彼に「この度の偉大な成功は、いちにあなたの功績である」と感激の手紙を送っている。彼の最高の日々であった。しかしやはりフィレンツェはフィレンツェ。臣民軍をめぐっては、貴族派が反対しており、この成功と書記としては不釣り合いな八面六臂の活躍は、やがて妬みを生み、追放の契機となっていくのである。

フィレンツェ市庁舎に描かれたヴァザーリ作「ピサの勝利」

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。