ミケランジェロは、ユリウス2世が戦争をしている間、天井画はほったらかして廟墓の彫刻を制作していた。1508年、教皇は戦勝にルンルン気分で戻ってきて、ミケランジェロに天井画制作を命じた。実際広大な天井である。首を上に曲げて作業しなければならない。彼の首は変な方に曲がってしまったといわれる。
この天井画のメインに「創世記」を選んだのはミケランジェロのアイデアだと言われる。ダ・ヴィンチが画家と共に科学者であるように、ミケランジェロは画家・彫刻家と共に思想家の面が強い。彼は自分の思想を反映させている。
最も有名な「アダムの創造」。神の指とアダムの指が接触しようとするデザインは、映画「ET」にも採用されている。アダムは自ら手を伸ばして神に触れようとしているが、人間は自分で神に近づけるというルネサンス思想を色濃く反映させている。デルフォイの巫女らギリシャローマがあるのもルネサンス。
楽園追放の後は最後にノアの洪水と回復の場面、それは最初の審判と回復である。しかしノアではなく逃げ惑う人々。中州には珍しく着衣者が居るが高位聖職者に見える。それに頼っても沈むのだ。サヴォナローラの影響を受けたミケランジェロの時代への警告かもしれない。方舟は遠くにある。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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