万能の人15-ドイツ最高峰デューラー登場

この時期、ヴェネツィアに来ていたドイツ人が居る、ドイツ最高の画家アルブレヒト・デューラーである。彼は1471年生まれで、1494年の修行時代に最初のヴェネツィア訪問をしている。この第一次訪問で版画技法を学び、翌95年に帰国後、ニュルンベルクで工房を開き、木版画で「黙示録」を描きヒットを飛ばした。

当時のドイツといえば地方領主に分裂し、イタリアとは違い農村は遅れ飢饉が発生していた。黙示録はそういう背景のもとで世紀末に流行したらしい。しかし都市では、フッガー家などが勃興し、商工業が盛んになっていた。ニュルンベルクはその中心都市で、マイスタージンガーのハンス・サックスも居た。

ドイツでは画家の地位は低く、職人の一種であった。デューラーは、イタリア旅行で、イタリアの遠近法や解剖学に加え、人文主義も学び、その後ドイツで独自に研究して、比類ないレベルまで引き上げてゆく。デューラーは自画像も描いているが、それは実験と共に自分の自負心を表現している。

1505年に二度目にヴェネツィアに訪れたときは、もはやデューラーは一流画家として歓迎された。その後彼はラファエロ、ダ・ヴィンチなどの有名人とも交流することになる。同時期に生まれたもう一人のドイツ人が居る。名をマルティン・ルター、彼はこの年、激しい雷雨にあい、「聖アンナ助けて下さい」と修道院に入る約束をして、本当に入ってしまった。

下は自画像左1498年右1500年


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