帝国対王国15-無冠の帝王?マクシミリアン

スペイン継承で苦戦している神聖ローマのマクシミリアンは、今度こそ皇帝戴冠がしたかった。幸いにもバイエルン継承戦争に勝利し、ハンガリーとの戦争にも勝利して、帝国諸侯はようやくマックスの邪魔をしなくなった。かといって従ってくれるわけでもなかったが。

ともかく1506年夏、マックスは軍をトリエンテに集結させ、ローマへの進軍を開始しようとしていた。しかしまた仏王ルイ12世、ローマ進軍はイタリアを侵略するためだ、と、自分がやったことを棚にあげて、ヴェネツィアと謀って、反マックス包囲網を構築した。

マックスはフィレンツェに軍資金を要請、そこでまた交渉にマキャベリが登場した。マキャベリは、皇帝軍が非常に優秀であるが、反面財政的に困窮し、マックスも勇猛だがロマンチストすぎるという欠点を見抜いて手紙を書いている。

フランスに従うスイス傭兵やヴェネツィア軍は、先の峡谷に2万の軍を集結させていた。ローマ教皇ユリウス2世はここで、「一旦トリエントで皇帝を宣言したらいい」と提案してきた。結局マックスは仕方なく、1508年2月8日トリエントで、ともかく神聖ローマ皇帝を宣言し、いつの日かローマで戴冠すると、無冠のままの皇帝となったのであった。

下はデューラーの傑作「茨の冠の祝祭」聖母より戴冠しているシャクレ顎の人物が皇帝マクシミリアン

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。