万能の人13-ミケランジェロ墓から天井画へ

1505年、ミケランジェロは教皇ユリウス2世にフィレンツェからローマへ呼び出された。ユリウス2世も軍事力で教皇領を守り、ヴァチカンの権威を高めようとの野望をもっており、アレクサンデル6世に負けずのハデ好き。彼は自分の墓を作るように命じられた。

その墓は幅7.2m、奥行き10.8mに加え、40体以上の彫刻を備えるというこれまたドハデ。まてまてローマ皇帝の墓かよ?これもヴァチカンの権威を高めるためと考えていたようだから、アレクサンデル6世だけでなく、この時代は世俗主義に相当犯されていたのだろう。

しかしもっと大きなプロジェクトがあった。サンピエトロ大聖堂の建替えである。この総責任者がドナト・ブラマンテである。最初は大きなドームを持ったギリシャ十字の聖堂であった。それだけでもお金がかかるのに、自分の墓で金を浪費されてはたまらん。

そこでブラマンテは一計。「社長じゃなかった聖下、システィナ礼拝堂の天井画を描いてはいかがでしょうか?」「おおそれはいい考えぢゃ、して誰に描かせる?」「ミケランジェロがよろしいかと」「いや彼はワシの墓を」「いや彫刻や建築に比べたら絵画なんかサッサッサーと描くだけ、すぐ終わりますよ」

こうしてミケランジェロは天井画を描くことになった。

0コメント

  • 1000 / 1000

キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。