サヴォナローラ事件がミケランジェロに及ぼした影響は大きかったはずである。ダ・ヴィンチは新プラトン主義全盛時代のフィレンツェの影響を受けた。対してミケランジェロは、新プラトン主義が全盛を過ぎ凋落し、キリスト教回帰のフィレンツェに生きてていた。これは作品に違う個性を与えているといわれている。
サヴォナローラ後のフィレンツェは、名門ソデリーニ家のピエロを首班とした不安定な政府ができる。そしてここで書記官長に登用されたのがニッコロ・マキャベリであった。しかしサヴォナローラの影響で、芸術家達は別の都市へ流出していった。ミケランジェロも1496年からローマに移っている。
そしてミケランジェロにピエタを注文したのはフランス人のラグロア枢機卿だった。元々ピエタという苦しみの聖母像は、イタリアではなく、北方でつくられたものである。ミケランジェロが契約を交わしたのは1498年であった。結局ピエタといえばミケランジェロの作品となってしまった、このとき20代前半。
この最高に有名な作品、ロミオとジュリエットといっても皆うなずくだろう。それほど2人は若く、恋人のようだ。それまでの聖母は歳老いた婦人だが、ミケランジェロは強引に若くした。これはボッティッチェリのヴィーナスのように新プラトン主義の影響ともいえる。そして実は身体はゴツい、それを服の襞が優雅に見せている。じっと眼を伏せ、苦しみに耐えている聖母にはフィレンツェを悲しむ気持ちが反映されていると指摘する人も居る。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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