大航海時代10-スペインポルトガル世界分割

コロンブスは、自分の発見した島を、ヨーロッパと中国、日本との中間にある島だと報告した。そこで第2回の航海を許してもらえれば、この島と中国で黄金を見つけ、エルサレムを奪回できるだろう、と売り込んだ。彼は本気で信じていたのかもしれないが。その他ここの島民を奴隷にできるとも提案している。

女王イザベルは、その提案の中で、領土を確定せよ、という提案だけは気に入った。当時はポルトガル全盛期、1481年の回勅で、カナリア諸島以南の領土は、すべてポルトガル領という宣言がされていた。しかし現教皇はスペイン出身のアレクサンデル6世。さっそくイザベルは手紙を書き、1493年4月12日に受理された。

さて、この教皇には愛人に産ませた数人の子供が居た。当時高位聖職者に愛人が居るのはフツーだったが、子供に職権乱用で領地を与えようとするのはやりすぎ。息子にナポリの領土を分けようとして、ナポリ王フェルディナンド1世はローヴェレ枢機卿(後のユリウス2世)を助け、スペインの援助が欲しかったのだ。

そこでさっそく5月4日付けで回勅が発表され、コロンブスの言う通り、大西洋のかなりの部分より西をスペイン、東をポルトガル領と勝手に宣言した。このスペインに有利な決定にポルトガルが異議を挟み、1494年もう少し東にずらせたトラデシリャス条約が成立した。この区分ではブラジルがポルトガルに入るので、ブラジル領有の根拠となった。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。