大航海時代6-コロンブスを救ったユダヤ人

1491年末、コロンブスは三回目にイザベル女王に謁見を果たした。しかし西進航海委員会はコロンブスの計画を却下した。そもそも委員会のほうが科学的に正当である。コロンブスはアジアに到達したかったので、その計画でいくなら、大西洋より、さらに広大な太平洋を越えねばならない。そして彼は、発見した土地の総督の権利というタカビーな要求も行ったのである。

絶望のコロンブスの前に急転直下、救い主が現れた。アラゴン王財務官で改宗ユダヤ人のルイス・デ・サンタンヘルが、何と個人的に費用を全額立て替えると言いだしたのである。すでにスペインをあきらめ、フランスに向かっていたコロンブスを急いで伝令が追いかけ、15㎞先のピノスプエンテ村の橋の上で追いついたとされている。

サンタンヘルの申し出は、異端審問と関係がある。レコンキスタが達成されると、厳しい異端審問が始まり、ユダヤ人達は国外追放されるだろう。教皇が回勅を出している以上欧州に居場所がなくなる。ユダヤ人の間では、前も書いたが、プレスター・ジョンや失われた氏族が、東方に国をつくっているという伝説があった。サンタヘルはそれに賭けたのである。

コロンブスがそこの総督になるのも、サンタヘルにとって、スペインの支配が及ばないので都合がよかった。彼の決断のおかげで、現在アメリカは、イスラエルに継ぐユダヤ人の居住国である。翌92年4月30日、サンタフェ契約が結ばれて、コロンブスが具体的に動き出すが、その1月グラナダが陥落してレコンキスタが実現された。

下はピノスプエンテ村で使者と会ったコロンブス

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。