1483年、ルイ11世のライバル、エドワード4世も崩御した。ヘンリー6世を最終的に処刑してからは、波乱もなく、薔薇戦争は終わったかに思えた。4世の息子エドワード5世が即位して御世が続くと思われた、ところがである。それまで5世の即位に協力し、幼王の摂政となった父王の弟、グロスター公が裏切った。王の側近を宴席と称しておびき出し、反逆罪で処刑し、さらに王と王弟をロンドン塔に幽閉してしまったのだ。
そして町の説教牧師ジョン・ショウに命じて、王は父の嫡子ではなく、庶子であって正当性がない、と触れまわらせた。さらにバッキンガム公にも市民代表に演説をさせ、6月25日、賛成派の議員のみで、王の廃位を決議、グロスター公の王を認めた。シェークスピア史劇でいっそう悪名高き、リチャード3世の誕生である。
この後5世と弟はロンドン塔から姿を消し、今に至るも行方不明、亡霊としてロンドン塔をさまよっているようで、よく写真に写る。ともあれさすがにこれは反乱を呼ぶだろう。なんとリチャード派であったバッキンガム公まで報償が少ないと反乱に及んだ。
そこで正義の味方登場。ランカスター家リッチモンド伯ヘンリーは、ヨーク家全王長女エリザベスと婚約、両薔薇を統一し、逃亡先フランスからルイ11世の支援を得て、85年父祖の地ウェールズに上陸、ウェールズ兵も糾合して5千の軍勢でボズワースの戦いでリチャードに勝利。ここにようやく薔薇戦争は終結したのである、めでたしめでたし。リチャード3世は史劇で「せむし」と表現されて、ホントかどうか論争の的であったが、2012年に発掘され本物とDNA鑑定された背骨は確かに歪んでいたようだ。
下はかつてのシェークスピア名優ローレンス・オリヴィエ演じる「リチャード3世「
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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