パッツィ事件のとき、レオナルド・ダ・ヴィンチはもうフィレンツェに居る、26歳。何とこの事件で処刑された人間のスケッチをしているのだ。彼はすでにヴェロッキオの工房で、師匠もかなわぬと言われるほどの腕を見せていた。また音楽の才能もあり、リラを奏でて作曲もしていたようだ。
若いときのノートには、数学、天文、地理、医学者の名前が書かれている。彼は、メディチ家の「プラトンアカデミー」には行かなかったが、万物を探求する心が人一倍強かったのは間違いない。そしてヴェロッキオと描いた傑作が「受胎告知」である。
この作品で、ダ・ヴィンチは、大天使ガブリエルと背景を描いたが、まず無限に広がる背景が独特である。背景に聳えるて雲を頂く山は、イエスキリストを表現しているという説がある。三位一体から考えると、この聖なるドラマを見守る父なる神だろう。
これ以後、モナリザに至るまで、背景にこだわり続けることになる。受胎告知はボッティチェリも描いているが、ダ・ヴィンチは非常に意識して、背景を大切にしていないと批判しているのだ。ダ・ヴィンチは、「聖ヒエロニムス」や「東方三博士の礼拝」を受注しているが、いずれも完成させず、ミラノへ出発する。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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