イタリアの春5-ミランドラとルネサンス万能人

プレトンは1449年にビザンティンの情勢緊迫を受けてフィレンツェを去った。その後コシモがプトンアカデミーの中心としたのは侍医の息子、マルシリオ・フィチーノである。そしてこの友達がルネサンスの典型的思想家といえる、ピコ・デラ・ミランドラである。

彼はパドヴァとボローニャ大学でスコラ哲学を学び、ユダヤの神秘思想やペルシャ思想まで、若くして当時学びうる哲学、宗教に通じ、それらを総合しようとした。彼はクザーヌスの思想をさらに人間中心的にすすめていく。クザーヌスは、キリスト教らしく、神のところに上昇するには、最終的に神の恩恵が必要と考えた。

しかしミランドラは、人間は自分の意思をもっており、悪魔にもなれれば天使にもなれる。自分の力によって神のようなものになれるというのである。そのツールが哲学と神学であり、自然を解き明かすという意味で魔術も入っている。神学は神そのものが導いていると考える点では従来のキリスト教の色が残っているが。

ともかくミランドラのように、人間が中心で、従来の思想を総合して無限に進歩していこう、という思想を体現して、ダ・ヴィンチのような「ルネサンス万能人」ができてくるのである。ここまで来ればプラトンは関係ない、しかし看板はやはりプラトンなのである。とはいえそろそろヤバくなってくるのだが。

下は壁画の一部に描かれたミランドラ@イケメン、左はフィチーノ

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。