オルレアンの少女40-急転!ジャンヌ悔悛署名?

5月13日、決定的な事態が起きた。ウォーリック伯が豪勢な宴会を催して、参加者が酔った勢いで、ジャンヌの牢獄に行こうと言いだした。この記録も残っている。ジャン・ド・リュクサンブールが、「我々に手向かわねば、お前を自由にしてやろう」とからかった。ジャンヌは「そんな気もないくせに」と言って続けた。

「イギリス人に殺されるのは百も承知しています。しかし今より10万人多くの兵を持ってきても、フランスがものになることはありません」。この宴席にはコーション司教も同席していた。イギリス人達が、ジャンヌを処刑せよ、とこの後圧力を加えなかったら不思議である。

5月24日、陪審員達も総出で、野外の公開の席で、ジャンヌに判決文が読み渡された。この判決文は、ジャンヌに論破されたことまで載せられ、魔術、妖術の類を使って、人を惑わせたというまるでデマであった。その13条に、最終的に処刑の理由となった「男装の罪」が書かれている。

そのときハプニングが起こった。ジャンヌの隣に居た1人の廷使が、「早く署名しなさい」と簡単な悔悛誓約書を渡した。これは公式な誓約書と全く別物だった。ジャンヌは自分の名前が書けたのに、〇の中に十字の署名をした。これは「この署名は無効」というサインだったと解釈されている。裁判は終わり、ジャンヌは約束通り、教会の牢に入れてくれることを期待した。しかし戻ったのはもと居た牢だった。

下はイシドール・パトロワ作ジャンヌの牢に押し入った英兵

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