オルレアンの少女26-新王シャルル停戦を提案

聖母マリアに大天使ガブリエルが受胎告知したときのことを、聖ベルナールは「そのとき被造物すべてが答えをかたずを呑んで見守った」と書いている。カトリック神学では、人間は神から自由で、神は人間からの応答を待っている。ランスで戴冠を達成したジャンヌのミッションコンプリートで、ジャンヌは解放された。

では村に帰れるかというと微妙である。村の周囲は敵だらけで、ジャンヌが帰れば捕まることは明白である。宮廷でアイドルとして王の側で過ごす、多分それをシャルルも願ったろう。しかしもうジャンヌにはパリなどから救援の訴えが寄せられていたのである。

新王はコンプレックスから解放されて人が変わる。さらに危ない目はしたくない。そして侍従長ラ・トレモイユを通して、ブルゴーニュ候に休戦の申し入れをするのである。

ランスとパリは目と鼻の先である。この勢いのままパリへ攻め込むことを主戦派は望んでいた。8月15日、モンテピロア村で、仏王軍は英軍と相対する。しかし英軍は撤退を開始、仏王はクピレまで軍を戻して、ブルゴーニュとの停戦交渉を開始するのである。その間、英摂政のベッドフォード候は、パリの防備を強化し、その責任者にブルゴーニュ候をあてる。

下はジョン=エヴァレット・ミレー作「ジャンヌ・ダルク」

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。