オルレアンの少女18-決戦!胸を射られて落下

その日の夜は奪取したオーギュスタン砦に皆泊った。夕食後に首脳が、本陣を攻めるには兵が足らないので明日の出撃はやめよう、と言ってきた。ジャンヌは烈火の如く怒り、拒否。そして聴聞僧に「明日はもっと早く起きて」といい、「私も乳房の上から血を流す」と不思議なことを言った。

いよいよ5月7日運命の日が始まる。ジャンヌは兵士達を集めた。目の前とはいえ本陣のトゥーレル要塞はこれまでとはケタ外れ、高い要塞の周りを堅固な城壁が囲み、その周りは空堀が掘られていた。しかし兵士達はジャンヌが居る限り負けないと士気が高い。

ジャンヌが言った言葉を、昨日反対した武将が証言している。「神の御名にかけて、今晩は橋を渡って帰ることになるわ」そして「私を愛するものは、私に続け!」と叫び、例の軍旗を持って真っ先に走った。兵士が突撃しないわけはない。この言葉はルイ6世が言った言葉らしいが、ジャンヌは声に教えてもらったのだろう。

しかし要塞は堅く、戦闘は激しさを極めた。ジャンヌは、昼ごろ城壁に一番梯子をかけて登り出した。するとその上から弓兵が現れ、ジャンヌを射て、予言通り、彼女の乳房の下当たりに刺さって彼女は地面に落下した。


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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。