ジャンヌの負傷に英軍から歓声があがった「見ろ!あのアマは神の遣いなんかじゃねえ」。戦友達がかけつけて手当てすると思ったより軽傷だとわかった。しかし勢いは英軍にもっていかれて、戦線は膠着状態となった。夕方になり、オルレアン軍の司令官ル・バタールは「もう引き揚げようぜジャンヌ」と言った。ところがジャンヌは「休憩して夕飯を腹一杯食べましょ」と言った。
引き籠って外に出てこれない英軍の前で、仏軍は堂々と宴会をした。ひとしきり食べたところで、ジャンヌの行動を付武官であるジャン・ドーロンが証言している。ジャンヌは自分の軍旗を掘の前まで持ってこさせて、大きく振った。仏軍は皆それに終結した。英軍は恐怖に襲われた「あのアマまだピンピンしてやがる」
英軍兵は歓喜したあとだけに奈落に落とされた気分だったろう。神か魔女か、ともかくそこに居るのは人間とは思えない。仕掛けとしても狙ってできるわけではない。大天使ミカエルの指示はさすがである。
ジャンヌは、兵士を正面の門に全員突撃させた。英軍はもはや持ちこたえることができなくなっていた。堅い門が突破されたとき、兵士は我先にと逃げ出した。大将グラスデールは、ロワール川の橋に来たが、別働隊が橋を焼いて川に落ちて溺死した。英軍の兵士も大勢川に逃げて溺死、英軍が逃げればいいと思っていたジャンヌは大声で泣いた。
下はジュール=ウジェーヌ・ルヌブー作「オルレアンのジャンヌ・ダルク」(部分)
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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