オルレアンの少女16-声に起こされ逆転勝利

「神様仏様ピュセル様」ジャンヌが入城してきた街のムードを日本語でいうとこうなるだろう。この日本語は助けてくれるものなら何でもいいという感じで面白い。しかしすぐさま戦いたいジャンヌは不承不承、隊長達に説得されて入城したのである。

市民にとってはまさに神が降臨してきたようで、松明を手に見守ったが、もちろん膝まづいて祈り、中には何とかして触れようと接近する者もいた。その者の1人が、うかつにも軍旗に松明の火を移してしまったが、気付いたジャンヌは馬を翻してそれを消し止めた。どうやらポアティエで乗馬の訓練をしていたようだが、それにしても見事であり、これもジャンヌの声望を高めた。

何とかしてジャンヌに会いたい市民のために、皆の願いで2、3日パレードが施行された。フラストレーションの溜まるジャンヌは夜中に城壁の上や、落とされた橋の先に行って英軍に出て行かねばひどいことになる、と呼びかけた。もちろん英軍からは侮蔑の言葉が返ってきた。

偵察に行った守備隊長からは、英の増援が来ているとの報告があり、ジャンヌは必ず報告するよう念を押した。ところが翌朝、ジャンヌは「声」に起こされた。実はブルゴーニュ門の先のサン・ルー砦で小競り合いが起こっていた。ジャンヌは急いで着替えて軍旗を持ってかけつけるや、劣勢だった仏軍は勢いを取り戻し、なんとそのまま砦を奪ってしまった、ジャンヌ伝説が本当に始まった。

下はアンリ・シェファー作「オルレアン入城」ちょうど夜なのでこんな感じだろう

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。