ポアティエの審査の報告で、救世主の噂も明らかになった。その噂の出所はマリ・ダビニョンという名の知れた幻視者で、彼女はフランスの荒廃を幻視し、甲冑が自分のもとにさしだされたが、着るのは自分でなく後からやってくる処女(ピュセル)だと告げられた、と国王に伝えたとのことである。神は妙にまめで、洗礼者ヨハネのように道を整える人も遣わしてくれるようだ。
これも陰謀説があるが、そうだとすれば壮大な仕掛けというべきでまず考えられない。ジャンヌがこの噂を知っていたのは事実で影響されたとは考えられるが、それだけでジャンヌの奇跡的な生涯を説明できるわけでもない。ともかくこの傍証が出されるほどジャンヌはポアティエのテストで合格以上の成果を収めたのだ。
王太子はジャンヌをトゥールに行かせて彼女にぴったりな甲冑と有名な軍旗をつくってくれた、軍旗は声に従って彼女が指図した。ジャンヌの甲冑といわれるものはなぜかメトロポリタン美術館に飾られている。これを基にマンガ「ギャラリーフェイク」で一話つくられている。
さて剣であるが、ジャンヌが言うにはフィエルボアの聖カトリーヌ教会に自分の剣を聖女が用意してくれたから取りに行ってほしいという。実際行ってみると言う通り祭壇の裏の地中に埋まっていた。錆を落とすと本当に5つの十字が刻まれていた。これは伝説ではなく処刑裁判でも確認され、復権裁判でも証言がある。この剣はカールマルテルがトゥールポアティエの戦いで勝ったときの剣といわれているがそれは盛りすぎ。ちなみに聖カトリーヌが持っているのは自分を殺した剣。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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