世界大戦への道34-アメリカ参戦

戦争をしていない最後の大国アメリカ、ウィルソン大統領は、ヨーロッパ列強に停戦の外交を行った。アメリカ国民の多数も戦争を望まず、1916年の大統領選挙では、ライバルの共和党候補ヒューズが大規模な徴兵と軍備拡張を訴えるのに対して「彼が戦争から離している」というスローガンで再選された。

じかし実際、アメリカは中立ではなくイギリスを中心に武器援助や多額の借款を行っていた。また日本が参戦し「対華21カ条」の要求を中国に突きつけたことで、日本がアメリカの東洋進出の妨げになると考え、その16年に建艦法をつくり、大規模な艦隊づくりに乗り出した。

16年には協商国との会談で、もしドイツが和平提案を拒否するなら参戦もありうるとの見解を出していた。またドイツの無制限潜水艦作戦によるルシタニア号沈没でアメリカ人128人が犠牲になるなど、次第にアメリカが参戦せざるを得ない状況がつくられる。

17年1月16日、ドイツのツィメルマン外相からメキシコ政府にあてた電報がイギリスに傍受され、その内容がアメリカに暴露された。その内容は、アメリカが参戦するならメキシコがドイツ側に立って参戦してほしいという要請だった。ドイツが加勢してテキサスなどをメキシコに奪還させるという。さすがに孤立主義をとってはおれず、4月6日アメリカはドイツに参戦した。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。